2018/11/11

笠間の家 祝上棟


写真は、棟上げの様子。この棟木は、100年生の桧の伐採ツアーとその製材を経て、棟梁金澤信之により750mmの追掛け大栓継ぎと垂木彫りが施されたもの。製材所で太鼓に落とした部分以外は手斧で仕上げ、自然な曲がりのある丸太をうけるそれぞれの束柱のホゾはその上端にまで達している。さらに1mの妻側の出(ケラバ)確保の為、材の途中からはその他の母屋や軒桁と同様、角材に加工されている。
丸太一本では「大工の幾何学にあずかる」とまでは言えないかもしれないが、大断面の木材には格別の迫力と力強さがある。そしてこの丸太はこれらひとつひとつの手仕事とその時間を記憶しており、なにより建主の脳裏にある山林の風景を象徴するものだ。ここまでに林業家を始め沢山の人々の仕事が蓄積されている。伐採ツアーの実体験でこれらの仕事の一端を理解されている建主と上棟を無事終えた棟梁と大工達の表情は、普段にも増して生き生きとして見えた。(岩瀬卓也)